思えば遠くへ来たもんだ。

昨日、誕生日を迎えまた一つ大人になりました。
気がつけば向島に移住して7年目、
ここ向島集会所の管理人としても5年目となります。

「なぜこの島に?」
よくある質問ですがしいて理由をつけるとしたら
「何もないけど何でもあるからです」

おしゃれなカフェやコンビニどころか
この向島には自販機すらありません。
何せ全島民あわせて10数名しか住んでおらず
お金を使う、消費するところが無いのです。
しかし、見渡す限りの大自然には海と島
車も走ってない島ですから雑音もありません。
代わりに波の音、風の音、小鳥のさえずり、
四季折々の草花に海では魚が泳いでる。
そして定期船がありませんから
島外からは簡単に来ることができません。
島が丸ごとプライベート空間。

かたや100m隣の直島には
ベネッセのハイアートが島のあちこちに点在し
コンビニやおしゃれなカフェが建ち並び
国内外問わず多くの観光客で溢れており
その観光客もアートに興味関心のある層なので
人間的に面白い方がとても多い確率で出会えます。
そして直島へは本州、四国、どちらからも
毎日多くの定期船が行き来しており
高松や岡山など都会へ出るのも気軽に行けます。

ちょっと船で渡れば直島へ行くこともできるが
基本向島には誰も来ないのでひとりでゆっくりのんびり。
さみしがり屋のひとり好きな自分にはもってこいの場所。

さらに自分の船を持つ向島の民は
瀬戸内海を好きなように小船で彷徨えます。

そんな向島での生活も7年目。
生きていく術として直島のカフェで働いたり
はたまた海苔網の漁師として沖に出たり
縁あって4年前からここ向島集会所の
ゲストハウスの管理人として暮らしています。

こんなに面白い場所にあるのだから
多くの人が押し寄せるに違いない。
そう信じて始めたゲストハウス管理人でしたが
向島集会所はまったく順風満帆ではありませんでした。

まず向島集会所のコンセプトを「秘密基地」とし
好きなものを詰め込んだ隠れ家的な
子どもの頃に作った秘密基地を
大人になった今、あらためて構築し
秘密にするために取材などは極力お断りし
自らの宣伝も行わない方向で考えてました。
要はお金がなかったので宣伝できない言い訳です。

そりゃ秘密にしてたら誰も来ません。
けれども中身を磨くのが一番の宣伝だと信じ
厳しいルールを自分やスタッフ、ゲストにも課し
不自由の中にある自由を楽しめるようにし
取材を断っていたのもこれら向島集会所のコンセプトに
合わない層が間違えて訪れないための自衛で
自然が多い反面、虫など生き物も多く生息し
汲み取り式の便所だったりエアコンがなかったり
決して一般的な快適とは異なる環境に
やはりテレビやメジャー雑誌などで目立ってしまうと
明らかに場違い、勘違いな方が来てしまうと
ゲストにもホストにも双方にとって良くない状況を生み
結果お客さんの足を遠ざけてしまうくらいなら
確実な口コミによる宣伝が一番です。
なので未だにフライヤーどころか
自分の名刺すら無い状態です。
いや、いい加減に名刺くらい作らないと。

そして限られた取材にしても
最低限、向島集会所に来たことがある記者
しかも来てから3年以内の記事のみ許可してます。
向島集会所は日々変化してます。
スタッフがひとり入れ替わるだけでまったく異なります。
ゲストが入れ替われば、また向島集会所も変わります。
2年ほど前に実家から母親が向島に移住しました。
この2年は最も大きく変わったと思います。
ゲストも大半が海外からの外国人観光客となりました。
部屋の作りも頻繁に変更したりしています。
その為来島3年以内の記事のみに限定しています。

向島集会所はゲストハウスではありますが
アート活動のようなものだと私は思ってます。

ところでゲストハウスって何ですかね?
今の世の中はゲストハウスが流行っているのもあり
簡易宿泊のみならず様々な宿泊施設が名乗ってます。
古民家を改装したありがちなゲストハウス
兎小屋見たく寝るだけの今風なタコ部屋だったり
素泊まりの民宿でしょ?ってところ
並んだプレハブ小屋が名乗ってるのには驚きました。
「ゲストハウス」って言葉の意味が「飲食店」くらい
大まかなジャンル分けの単語になってますよね。

私が目指す形は手段ではなく目的となるゲストハウス。

よくあるのが観光地近くにある安宿。
黙っていても人が訪れる場所の近くにあれば
おのずと集客も楽になりますからね。
ここ直島なんて観光地の中でも特に恵まれた環境。
自分たちが何もしなくてもベネッセが毎年
巨額の資金を投資してアート作品を保持してくれてますから
直島=おしゃれの付加価値が勝手についてくれるので
街中じゃ普通のお店でも直島にあるだけで特別になり
頑張らなくてもお客さんは大量に訪れてくれます。
ここ向島も少し条件悪いけど同様です。
しかしそれはとても危険だと思っています。
ベネッセのアートに依存しているだけで
アートを抜きにしたら何が残るのって話です。
アートもいいけど向島集会所に行きたい。
そんなゲストが訪れてくれるように。

そのためにはまず自分が何よりも魅力的な人間になるのが近道です。
魅力的な人間になるためにこれからも

いっぱい遊ぶぞ!